何度も見ているのに、
涙が出てしまう映像があります。

それが、九州新幹線全線開業CM「祝!九州」です。

新幹線が走るその沿線に、
たくさんの人たちが集まり、手を振る。

子どもも、大人も、お年寄りも。
それぞれが、それぞれの場所で。

ただ新幹線を迎えているだけの映像です。

特別な演出があるわけでもなく、
派手なストーリーがあるわけでもありません。

それなのに、なぜか心を動かされる。

そして気づけば、涙が出ている。

このCMは、もともと九州新幹線の全線開業にあわせて制作されたものですが、
公開のタイミングが、
東日本大震災の直後と重なり、
大きく放映されることはありませんでした。

だからこそ後からこの映像を見ると、
単なる開業の記録ではなく、
“人が前を向こうとする力”そのもののように感じられます。

理由を考えてみると、
あの映像には「作られていない感情」があるからだと思います。

そこにいる人たちは、
誰かに言われて集まっているわけではなく、
自分の意思で、その場に立っている。

その純粋な気持ちが、
そのまま画面越しに伝わってくる。

そして、バックに流れる
Boom!。

軽やかで、どこか温かいそのメロディが、
人々の笑顔や空気と重なり、
映像全体をやさしく包み込んでいます。

音楽と映像が重なったとき、
言葉では説明できない感情が、ふと心に触れてくる。

それが、あのCMの力なのだと思います。

日常の中で、
人が同じ方向を向いて、
何かを迎えようとしている。

その姿に、どこか希望のようなものを感じる。

仕事でも、
うまくいくときもあれば、そうでないときもあります。

それでも、人は前に進んでいく。

誰かと一緒に、
同じ方向を見ながら。

だから私は、
たまにこのCMを見返します。

そして、また少しだけ前を向こうと思うのです。